研究概要 |
1960年と1970年代は、アメリカにとって現在の医療保険システム(貧困者、高齢者、障害者は公的保険に強制加入、その他は民間保険に任意加入)が出来上がった時期である。1965年には、貧困者向けにメディケアが、高齢者と障害者向けにメディケイドが公的保険として成立した。そして1973年には、健康維持機構法(Health Maintenance Organization Act)が成立し、その後比較的安価な民間保険である健康維持機構(通称HMO)が民間保険の成長を後押しした。本研究は、1960年代から1970年代にかけてのこのようなアメリカ医療制度の発展を、アメリカ医師会が採用した戦略の変化に注目しながら分析することを目的とし、日本との比較研究を視野に入れながら研究を行うことを目的としている。平成25年度は、23,24年度に入手した資料を整理、分析し、著書二冊と論文を刊行した。『アメリカを知るための18章』では、政治・外交・経済の章において、「アメリカの政治-分権化された政治システムと政策過程-」と題し、アメリカの政治システムに関して日本との比較を交えながら解説を試みた。『アメリカ医療制度の政治史』は、アメリカの医療制度の展開を歴史的に辿り、オバマ大統領の進める医療制度改革についての政治的動きを現地の人々のインタビューを交えて論じた単著である。論文では、第二次世界大戦後のアメリカ退役軍人の為の医療制度について論じた。更にアメリカ学会において、オバマケアと転換期のアメリカについて発表を行った。講演もオバマケアについてのテーマで、釧路公立大学、明治大学、大阪大学において三回行った。平成25年度の著書の出版は、1960年から1970年代にかけてのアメリカの医療制度発展を日本と比較しながら分析するという本研究課題の集大成であり、本書の出版をもって、本研究の目的を十分に達成したと考える。
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