研究課題/領域番号 |
22730134
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研究機関 | 一橋大学 |
研究代表者 |
青野 利彦 一橋大学, 大学院・法学研究科, 講師 (40507993)
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キーワード | 冷戦 / 同盟 / デタント |
研究概要 |
平成23年度は、平成22年度に引き続き、研究基盤となる基礎的な情報の収集を続けた。先行業績や国内で入手可能な公刊一次史料の収集・分析を行う一方、平成24年3月にアメリカで1週間の史料調査・収集を行った。平成23年度は、文書館調査はアメリカのみに絞り、先行業績や既に収集済みの史料の分析に力を注ぐことになった。 平成24年3月のジョンソン大統領図書館(テキサス州)での調査では、平成22年度の調査の際には収集しきれなかった、1966年~68年の時期に関する史料をほぼ収集し終えることができた。特に、ジョンソン政権後半期の米ソ軍備管理交渉及び米独間で行われた複数の首脳会談の関連資料で、未公刊のものを数多く収集した。これによってアメリカ側の政策決定過程、特に、あまり研究蓄積がないジョンソン政権期の米ソ交渉に関するそれについて、実証的に再検討するための史料基盤を整備することができた。これは平成23年度の研究の大きな成果であるといえる。平成24年度は集中的に調査する予定のイギリス史料と突き合わせながら、ジョンソン政権の外交とそれに対する同盟国の反応、またジョンソン政権の政策決定過程における同盟要因について立体的に描いていくことが今後の課題となる。 また平成23年度は、本研究課題に直接関連する先行業績の読み込みに加えて、冷戦史研究の全体的な動向を検討することにも力を入れた。これによって、ジョンソン政権期の米ソデタントと西側同盟関係という、時期的にも地理的にも限定された事象に関する本研究課題を、より広い冷戦史研究の中にどのように位置づけていくかを考察する手掛かりを得た。その成果の一部として書評論文を執筆し、学会誌に投稿した。同論文は2012年度前半に刊行される予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
アメリカでの史料調査が順調に進んだこと、また先行研究の収集・整理も進展していることに加え、イギリスでの調査・研究日程にも今後の目処がついているため、このように評価できると考える。
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題の3年目となる平成24年度の前半(4月中旬~9月中旬)にかけて、イギリス・オックスフォード大学にて在外研究を行う機会を得た。そのため、平成24年度は、イギリス側の政策決定過程に関する史料の調査・収集・分析を徹底して行う予定である。ロンドンの英国立公文書館で3週間程度の調査を行うほか、オックスフォード大学ボードリアン図書館が所有する、ハロルド・ウィルソン(本研究の対象時期の英首相)、ゴードン・ブラウン(ウィルソン政権の外相)の文書などを調査する。また在外研究中は、学会やセミナーにも積極的に参加し、本研究課題に関連する研究を行っているイギリスの研究者との意見交換を行うほか、本研究課題に関連する論文の執筆を開始したいと考えている。
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