昨年度までの2年間に収集した資料-主としてアメリカ・イギリスの公文書館、そして国立国会図書館・東京館・憲政資料室で収集した資料-をもとに、ジョン・フォスター・ダレス(John Foster Dulles)の対中政策論に関する論文を仕上げた。その論文によって、サンフランシスコ平和条約を作成する際に中心的な役割を果たしたダレスの、中国・台湾政策に対する考え方を明確にすることができたと考える。 また2012年10月に名古屋国際会議場で開催された、日本国際政治学会・研究大会において、アメリカの戦後台湾政策に関する発表を行った。アメリカの台湾政策と言えば、50年6月の第七艦隊の台湾海峡派遣をその起点として考えがちだが、本発表では、国共内戦の主戦場がまだ大陸にあった40年代後半の時期からの対中政策の変遷の中に、台湾政策の形成を位置づけた。司会者や討論者、フロアーからのコメントと質問を通して、アメリカの台湾政策に関する考察をより深めることができたと考える。 2012年2月に1週間ほど、国立国会図書館の憲政資料室において外交関係資料の調査・収集を行った。トルーマン政権で国務長官を務めたディーン・アチソン(Dean Acheson)や国務省の中国専門家ジョン・メルビー(John Melby)の個人ペーパーなど、昨年度までの2年間では十分収集することのできなかったトルーマン大統領図書館所蔵資料の調査・収集に当たることができたことは大きな成果だったと考える。
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