今年度は、昨年度に引き続き、関係文献の収集と、著書・論文の執筆作業(次年度に継続)をおこなった。関係文献収集に関しては、数度にわたり外交史料館を訪れ、1930年代の日本の国際秩序認識と、それと比較する意味で、戦後のアジア・太平洋秩序認識に関係する未公刊史料を閲覧した。また、今年度は、伝記資料、日記など、公刊されている個人文書の収集に力を入れ、分析を進めた。 この研究の目的の一つであるである「社会外交史」の観点を、いっそう明確にするため、通史的内容の著書の執筆作業を開始した。平成24年12月の刊行を予定している。 前年度に開始した不戦条約については、11月に「東アジア国際政治研究会」で概要の発表を行い、論文を執筆中である。不戦条約をめぐる論争の内実は、「外交の民主化」を認めるか否かという点にあったことを明らかにする予定である。 また、「日本人の国際移動に関する学際的研究会」で、1930年代後半の島崎藤村の移民論を紹介した。作家の移民論を通じて、日本と西洋文明の関係、知識人の外交問題認識等を明らかにする端緒とする予定である。これについても論文を執筆中である。 前年度の作業過程の中で、大東亜共栄圏を国際秩序論の観点から再考するため、その基礎的研究と共同研究の必要性に気づいた。1月から3月にかけて、新たな研究グループ発足に向けた準備作業及び関係文献に収集を行った。これは来年度に基礎段階の整理を行い、さらに将来に向けて発展させていく予定である。
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