本研究は、ヨーロッパと東アジアにおける民族主義と地域主義との相互関係を検討したものである。三年間の研究を通じて、次の3点を成果として挙げられる。まず、中国、韓国、シンガポール、タイにおいてフィールドワークを実施し、東アジアにおける民族主義の実態を究明した。次に、「ボトムアップ」の視点から民族主義を考察し、両地域の比較を通して地域主義に対する民族主義の影響を明らかにした。第三に、民族主義と地域主義との関係性を検討することによって、比較地域統合論の既存の研究枠組みを広げ、新たな理論的な視点を提供することができた。 具体的な研究成果については、査読付きの論文3本と共著論文3本を出版したほか、国内学会およびアメリカ、アルゼンチン、オーストラリアで開催された国際学会においても研究報告を行った。
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