プロジェクト初年度となる本年度は、本研究の基礎史料となる1949年から1965までの期間の中華人民共和国外交部档案館の外交档案(公文書)の調査・収集を引き続き行った。 従来、研究代表者は、国交不在期の日中間における「民間人道外交」(民間団体経由で実施された中国残留日本人引揚、日本人戦犯処理、遺骨送還事業などの事実上の戦後処理)の展開過程を解明すべく、これに関連する史料を中心に史料調査・収集を行ってきた。 だが、本プロジェクトでは、より多角的な視点から日中国交正常化プロセスを検討・解明するため、いわゆる「民間経済外交」や「政府間交渉」に関する史料についても網羅的な調査・収集を開始した。すなわち、戦後初期日中関係に関する中国外交部档案全般を対象とるより広範な档案調査活動を本年度から開始したことになる。 具体的には、2010年10~11月、12月、2011年3月の三回にわたり中国の北京・上海にて資料調査を行うと同時に、今後、より緊密な研究交流を進めていく予定の劉建平中国伝播大学副教授と3度にわたる研究交流を行った。なお、劉副教授は2011年夏より国際交流基金受け入れにより、1年間の日本における在外研究を予定されており、さらなる研究協力を進めていく予定である。
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