研究課題
(1)囚人のジレンマやチキンゲームを含む抽象的なモデルを戦略形ゲームの枠組を用いた社会的衝突ゲームとして定式化し、そこでの開かれた交渉における安定集合を分析した。このモデルを本研究課題に照らし合わせると、各プレイヤーが公共財供給技術を一定の価格・コストで導入するか否かを意思決定するような状況ととらえることができる。ナッシュ均衡がパレート効率的でない場合、安定集合が存在しない(合意に至らない)が、公正な第三者機関が交渉に参加し、各プレイヤーがこの第三者機関に自らの意思決定を委任することができるという制度を付け加えることでただ一つ安定集合が存在し、しかも効率的な帰結のみによって構成されることを示した。一方、全主体が技術導入をおこなうという、少なくとも直感的にはもっとも望ましく思える帰結を必ずしも含むわけではないという問題が残ることも明らかにした。(2)私的財生産技術を改善するような特許の交渉による取引について、共同研究者とともに研究をおこなった。提携形ゲーム理論における安定集合と呼ばれる解概念を用いて、どのような取引の形態が安定な取引の帰結となりえるかについて分析を進めた。(3)公共財供給技術取引に対しても応用の可能性がある序数的効用のもとでのCommon agency gameと呼ばれるメカニズムについての分析を共同研究者とともにおこなった。基本的なモデルである基数的効用のもとでの結果の拡張の可能性について研究を進めた。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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Theoretical Economics Letters
巻: 4(3月中に掲載許可) ページ: 289-252
10.4236/tel.2014.44039