次の四種類の情報が独裁者ゲームにおける提案者の行動に及ぼす影響について経済学実験によって検証した。情報Oは、提案者の選択に対する受容者の評価、情報Pは提案者の選択に対する受容者の期待、情報Qは受容者が提案者となった場合の選択、そして情報Rは他の被験者たちが提案者となった場合の選択に関する情報である。各情報の間には、理論的な関係が想定可能であるため、すべての情報を同時に被験者に与えることで、他の情報の効果を取り除いた純粋な効果の有無を各情報について抽出した。分散分析の結果、情報O、Q、Rそれぞれの主効果に有意差が確認された。また、情報Pの主効果は有意でなかったものの、情報Qとの間に交互作用が確認された。この交互作用は、提案者は利己的な受容者の期待は無視するが、利他的な受容者の予想を裏切らないように行動することを示唆している。
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