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2012 年度 実績報告書

イギリス福祉国家再編の思想研究:サッチャリズムからニュー・レイバーへの史的再評価

研究課題

研究課題/領域番号 22730172
研究機関九州大学

研究代表者

平方 裕久  九州大学, 経済学研究科(研究院), 専門研究員 (90553470)

研究期間 (年度) 2010-04-01 – 2013-03-31
キーワードメジャー政権 / イギリス福祉国家 / 準市場 / サッチャリズム / ニュー・レイバー / ガバナンス / ニュー・パブリック・マネジメント
研究概要

イギリス福祉国家の再編過程を基礎づけた経済思想の歴史的意義を究明するために、医療政策と学校教育政策を検討し、公共部門改革におけるメジャー政権の政策思想の特徴を政策展開のなかで浮き彫りにした。
福祉国家の再編期とされる1980年代以降の医療や教育など公共サービスの改革では、市場を模した競争原理の導入(いわゆる「準市場」)を創出することによって効率的な資源配分が達成できると考えられてきた。患者獲得をめぐる病院間の競争や生徒獲得をめぐる学校間の競争は、サービスの享受者である国民からの支持を得るために提供者はサービスを自ずと改良するはずである、という思想がその基底にあったということができるだろう。だが、NPMなどのガバナンス論が教えるように、このような「市場」が十全に機能するためには、財源をめぐる競争の強化だけでは不十分であり、情報の非対称性にみられるような市場の不完全性を克服するためには、一定程度国家・政府が情報公開などの環境の整備が欠かせないと考えられるようになった。
競争重視の改革を打ち出したサッチャー改革の実施を担ったメジャー政権(1990-97年)は、サッチャー政権の推し進めた政策を継承・強化しながらも、公共サービスの質的向上を企図した『市民憲章』を公表し、この問題に取り組んだ。国民が享受できる「権利」を明示した憲章では、サービス提供者の「成果の公表」などを通して透明性を高めることが謳われた。つまり、市場における競争にすべてをゆだねるのではなく、より積極的に政府が枠組みを形成することによってサービスの質と信頼性を高めることが重要であると考えられていた。この考え方は政権交代後のブレア政権にもより徹底した形で継承されている。すなわち、公共部門の「経営」という視点を取り入れ、ガバナンスを高めることを試みた点に一連の改革におけるメジャー政権の特徴を見出すことができる。

現在までの達成度 (区分)
理由

24年度が最終年度であるため、記入しない。

今後の研究の推進方策

24年度が最終年度であるため、記入しない。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2013 その他

すべて 雑誌論文 (1件) 学会発表 (4件)

  • [雑誌論文] イギリス・メジャー政権の公共政策:「評価」を通したガバナンスの構想2013

    • 著者名/発表者名
      平方裕久
    • 雑誌名

      Discussion Paper (Faculty of Economics, Kyushu University)

      巻: 2013-1 ページ: 1-13

  • [学会発表] メジャー政権の競争と管理の経済思想:経済・社会政策の展開から

    • 著者名/発表者名
      平方裕久
    • 学会等名
      経済学史学会西南部会第113回例会
    • 発表場所
      尾道市立大学
  • [学会発表] イギリス・メジャー政権の公共政策:「評価」を通したガバナンスの構想

    • 著者名/発表者名
      平方裕久
    • 学会等名
      社会政策学会第125回大会
    • 発表場所
      長野大学
  • [学会発表] 1990年代イギリスの教育改革における「準市場」の意味

    • 著者名/発表者名
      平方裕久
    • 学会等名
      九州経済学会第62回大会
    • 発表場所
      熊本学園大学
  • [学会発表] ハイエクとサッチャー:義務教育の再編をめぐって

    • 著者名/発表者名
      平方裕久
    • 学会等名
      経済学史学会西南部会第114回例会
    • 発表場所
      西南学院大学

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公開日: 2014-07-24  

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