今年度は、本研究課題の最終年度にあたるため、学会報告などによる個別の研究成果の発表ではなく、昨年度から取り組んでいた著書の改訂作業、出版社との交渉に集中した。平成24年度の研究実績報告書において、本研究課題の成果である原稿の出版について、ある出版社との交渉に入った旨を記したが、残念ながらその出版社とは契約に至らなかった。だが、その際の査読で得られたレビューを踏まえつつ、さらに時間をかけて原稿全体を再検討ができたことは、本研究課題を完遂する上で非常に有益であったと実感している。 最終的に、最終年度末に英国のEdinburgh University Pressと出版契約を結ぶことができ(2014年3月)、本研究成果が2015年度初頭に単著の形で出版される見込みである(最終原稿の提出は2014年8月末。さらに外部の査読者からのコメントを受け、11月末に修正原稿の提出予定である)。タイトルはHume's Sceptical Enlightenmentとし、本研究課題「ヒュームの懐疑主義的啓蒙の研究」でこれまで研究してきた内容を踏まえたものとなっている。 以上の理由から、今年度の科研費はもっぱら英文原稿の校閲に支出することになったが、著書出版に際して欧米の研究者からアドバイスをもらうなど、国際的な交流は維持している。 なお、私が研究代表者となり、本年度からECCO(Eighteenth Collection Online I&II)というデータベースが関西大学図書館に導入されることになった。このデータベース導入により18世紀の希少な資料に自由にアクセスできるようになったため、本研究課題の成果公表にあたって、より効率的かつ広範囲にわたる資料調査が可能となると思われる。
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