研究課題/領域番号 |
22730182
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研究機関 | 関西学院大学 |
研究代表者 |
山鹿 久木 関西学院大学, 経済学部, 教授 (50334032)
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キーワード | ジェントリフィケーション / 空間設計 / GIS / 密集法 / 防災再開発促進地区 |
研究概要 |
低所得者層が居住していた地域が、ある都市整備や都市再開発のイベントをきっかけに、当該地域がより快適な居住地に変化すると、その地域により豊かな所得階層の人々が流入し、既に住んでいた低所得の人々を追い出すジェントリフィケーションという現象がある。日本でも都心の地価の低下や再開発などにより、都心回帰の現象が観察される時期があった。そのことがジェントリフィケーションを引き起こしていた可能性がある。このことを、町丁目レベルの世帯平均所得データを用いることにより分析を行っていく。平成22年度に作成した以下のデジタル地図、(1)平均所得の町丁目別分布、(2)住宅の構造別世帯数分布、(3)産業分類表の注分類に基づく産業立地分布、(4)人口、ならびに昼間人口分布、をもとに平成23年度では、ジェントリフィケーションが、都市の再開発を契機に発生しているかどうかを計量経済学的な手法を用いて簡単に実証した。その際に用いた手法は、平均値による「差の差」の比較による手法である。ジェントリフィケーションが発生しているかどうかの契機になったイベントとして、次の2つを考えた。1つめは、東京都を対象にしたもので、2003年に「密集市街地における防災街区の整備の促進に関する法律」の改正が行われ、地震時に特に大きな被害が想定される地域については、「防災再開発促進地区」として自治体が定め、国からの補助などを通して、整備を重点的に促進する試みがとられている。これに基づき、東京都の各自治体は、一体的、総合的に市街地の再開発を促進すべき地区として「防災再開発促進地区」を指定している。この点に着目し、この指定を受けた地域周辺でジェントリフィケーションの現象がみられるかどうかについて検証した。また2つ目は近畿圏を対象に分析を行い、大規模な都市開発が計画され、平成に入って完了した地域を対象に、ジェントリフィケーションが起こっているかどうかを検証した。その結果、東京都の防災再開発促進地区周辺地域では、人口の移動に伴い、所得階層の変化、地価の変化が観察されたが、近畿圏では観察されなかった。近畿圏については、サsプル地点が少ないこともあるが、その他の要因の制御が不十分であることが次年度の課題として残った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
データベース化が計画通りに進んだ。さらに今年度の統計的手法による分析は、複雑なモデルを組んでおらず比較的短時間で結果の傾向をつかむための分析であるため、時間的な遅れはそれほどなかった。
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今後の研究の推進方策 |
研究実績の報告のところでも述べたように、東京都と近畿圏を対象に分析をすすめているが、近畿圏を対象にした分析に、改善の余地が多くある。一つは、データベースをより細かい区域に分けていく作業が必要である。同時に、今年度は最終年でもあるため、計量モデルの精緻化も同時にすすめることが必要となってくる。
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