本研究では、東京都23区内で「防災再開発促進地区」として指定されている地域と指定されていない地域について、人口や地価、居住者の所得水準の変化を町丁目単位で比較した。その結果、「防災再開発促進地区」として指定された地域のほうが人口流出が少ないことがわかった。さらにわずかではあるが「防災再開発促進地区」の指定を受けた地域の方が、そうでない地域に比べて世帯年収が高くなっていることがわかった。この人口の変化と平均所得の変化から、防災再開発の指定や再開発の実施は、居住環境の改善により、これまでより高い所得層の人々が流入してくるというジェントリフィケーションが起こっている可能性があることがわかった。
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