本研究では、医療サービスおよび医療費の発生の特徴を需要・供給の双方から捉えた。医療サービスにおける需要サイド(医療保険の加入者側)の情報として、個人別の医療機関の選択や受療の行動を分析した。供給サイド(病院側)の情報として、入院治療や手術の内容・結果、或いは病院別の経営指標を分析した。需要の主要因は(同一保険加入者に於ては)個々の既往歴・服薬歴の影響が最も大きいが、制度変更(特定保健指導等の予防事業、医薬分業の推進)が行動変容や医療費に短期的な変動をもたらすことがわかった。供給(手術の有無や入院日数の長短)の主要因もやはり患者特性にあるが、地域特性や技術指標にも左右されることがわかった。
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