研究概要 |
地球環境は、その影響が一国の領域を超え、地球レベルとなる地球公共財である。地球環境保護を政策が関与せず、個人や企業の自主的活動に任せた場合、社会的に見ると過小な水準になる。これまで気候変動の問題に対して、国際的合意の必要性は理解されており、1997年COP3における京都議定書、デンマーク・コペンハーゲンで行われたCOP15等において少しずつではあるが議論は進展している。今後、いかに長期的に大幅なCO2削減が可能になる制度ができるか注目される。 エネルギー効率の高い技術(例:電気自動車、社会システムの効率向上(例:公共交通の充実,自動車税制)、自然エネルギー利用の増大(例:太陽光発電,風力発電,バイオマス)などがCO_2排出削減の方法として提案されるが実際には、経済性の壁がある場合には十分な普及には至らない。 特に本研究は、温暖化対策の最適な技術戦略のあり方について政策提言を目指して、以下の2つの点を明確にしようと試みた。 1、環境技術を支える資金メカニズム 本研究では実効性のある環境経営や環境技術の促進(環境力)を評価し順位付けを行うための手法、または一定の水準を超える高い「環境力」を有する企業群を抽出するための資金メカニズムの手法を提示した。更に、日本、アメリカ、EU、中国、インドのデータを用いて、その有効性についての実証分析を行った。 2、水素社会を担う交通システムの将来設計 本研究では水素社会を担う交通システムの短期と長期の両面を考慮し、技術の経済評価を行った。特に現在各先進企業が推進中でかつ開発が可能な技術を使い、どの時期にどのような方法で普及を行えるか推定した。 本研究課題により構築したデータおよびシミュレーション結果は将来の都市構造(コンパクトシティ)設計に貢献しうると考えられ、実際にそれらを綴った学術論文も高い評価を受けている。
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