研究概要 |
本研究では、パブリック・マーケティング・アプローチによる社会実験の影響を経済学的な視点から分析する。分析では、簡易包装商品の購入を促す社会実験に対して、「(1)環境関連の社会実験によって消費者の意識に変化は生じるか」「(2)消費者の意識の変化は実際の購買行動に結びつくか」「(3)環境関連の社会実験の実験店舗側の従業員の意識に変化は生じるか」「(4)社会実験で取り上げられた流通、メーカーに対して市場はどのように評価するのか」といった4点に焦点を当て、アンケート調査のデータ、POSデータおよび株価データを用いた計量分析を行う。 本年度の実施した成果は以下の通りである。(1)については、実験店舗の来店客を対象に期間別に対面調査を実施した。加えて、店頭では聞きづらい所得・学歴等の質問を加えたインターネットによる全国調査も行った。この調査は、省包装商品(対象:詰め替えシャンプー)に対する支払い意思額(Willingness-to-pay:WTP)を明らかにすることで、省包装商品が市場でどれほどの価格競争力を持つのか、また、そのような商品を好む人はどのような属性かも明らかにすることを目的としている。分析結果から、省包装商品に対するWTPは2,639円であること、WTPを従属変数とした要因分析の結果からは、「普段から詰め替えシャンプーを購入している」、「ごみ袋有料化が実施されている地域に居住する」等の変数について、より高いWTPを持つことが明らかとなった。次に、(2)について、実験店舗および実験店舗周辺の同系列店舗のPoint of Sales (POS)データの収集・整理を(現在も)行っている。(2)に関する分析結果はまだ精査されたものと言い難いが、概ね社会実験を実施した店舗の実験期間における売上に対して正の効果を与えることが示されている。最後に、(3)については実験前後に実施したアンケート調査のデータを入力した。
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