研究課題/領域番号 |
22730198
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
山口 恵子 岡山大学, 大学院・社会文化科学研究科, 准教授 (60550374)
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キーワード | パブリック・マーケティング・アプローチ / 省包装 |
研究概要 |
本研究では、パブリック・マーケティング・アプローチ(以下、PMAと称す)による社会実験の影響を経済学的な視点から分析する。分析では、簡易包装商品の購入を促す社会実験に対して、「(1)環境関連の社会実験によって消費者の意識に変化は生じるか」「(2)消費者の意識の変化は実際の購買行動に結びつくか」「(3)環境関連の社会実験の実験店舗側の従業員の意識に変化は生じるか」「(4)社会実験で取り上げられた流通、メーカーに対して市場はどのように評価するのか」といった4点に焦点を当て、アンケート調査のデータ、POSデータおよび株価データを用いた計量分析を行っている。 本年度の実施した成果は以下の通りである。(1)に関連した研究については、前年度に実施したインターネット調査を用いた省包装商品に対する支払い意思額(Willingness-to-pay : WTP)の研究に関する論文を環境経済・政策学会2011年大会において報告した。また、本論文は海外雑誌(査読有り)へ投稿済みの状態である。 (2)については、実験店舗および実験店舗周辺の同系列店舗のPoint of Sales (POS)データの収集・整理を行った結果、データの不備が多数見つけられた。2009年-2010年の実験では、POPの管理を実験店舗側に委ねることによってどのような課題が生じるかということも注目すべき点であったが、結果としてPOPの管理体制が不十分であったことが明らかとなった。そのため、今回の実験から得られたデータを用いて(2)に関する分析を行うことは難しいと考えられる。したがって、(2)の検証については2008年度の実験に関するデータを再収集することによって行うことを検討している。 最後に、環境負荷低減という目標に対する新しい政策手段であると考えられるPMAに関して、従来の政策手段におけるPMAの位置づけ、特徴、利点、問題点などをより明示した論文を執筆し、社会技術研究論文へ投稿した。本論文については、査読者からの改定要求を踏まえたリバイスを行い、現在は再査読の状態にある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究実績欄の3段落目で示した「(2)消費者の意識の変化は実際の購買行動に結びつくか」に関する研究で使用予定であったデータの整備に時間がかかったこと、またその内容に不備が見つかったことが原因である。
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今後の研究の推進方策 |
本研究の中心となる(2)に関する研究について、本年度の実験よりも管理体制が十分であった前年度のデータを用いることで、問題を解決し、早急な分析・論文化を行う。また、(3)と(4)の研究については、(2)の論文化の状況に応じて研究内容に若干の修正を加えることを検討する。
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