研究課題
クールノー競争に従事する複占企業に対して政府が汚染排出税を課し、2企業が汚染削減投資を行う状況において、排出税率と汚染排出量の関係について考察を行った。政府に排出税率のコミットメント能力がなく、企業の汚染削減投資水準の決定の後に排出税率が確定し、その後に数量競争が行われる場合、均衡において次のことが明らかになった。(1)均衡排出税率の値が負になる場合もあり、過少生産を補正する効果を意図した生産補助金の意味で汚染補助金が正当化させうる。(2)また、政府が各企業に汚染補助金を支出する場合であっても、汚染削減投資の効果が大きい状況では社会全体の汚染排出量は減少しうる。こうした解明点は、寡占市場における排出税政策と汚染削減投資促進策の在り方を考えるうえでの重要な理論的基盤となりうるものである。また、財の品質や環境負荷水準の低減を意図したクールノー型研究開発モデルにおいて、研究開発と生産の双方のステージでカルテル行為を行う場合、生産のステージのみカルテルと行う場合、完全非協力の場合の3つのシナリオを構築して社会厚生上の比較分析を行った。そのうえで、研究開発成果のスピルオーバー効果と製品差別化の2つのパラメータで張る平面において、どのような規制環境でどのシナリオが社会的に望ましいのかを明らかにした。この成果は、カルテルの行為の競争促進効果の側面が非常に重要であることを強く示唆しており、より広範な視点からの研究を喚起すると思われる。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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IDEC, Hiroshima University, Discussion Paper Series 2
巻: 2 ページ: 1-12
SSRN Working Paper Series
巻: 2170177 ページ: 1-16
10.2139/ssrn.2170177