研究課題
今年度は,昨年度に引き続き,①使用済み耐久財の処理において,処理の時点で処理料金を徴収するDisposal Fee(DF政策)と耐久財の購入の時点で処理料金を徴収するAdvance Disposal Fee(ADF政策)を比較検討するとともに,使用済み耐久財の処理市場が公営企業による独占市場であるときに民営化が社会厚生に及ぼす影響を明らかにした。さらに,今年度は,②製品差別化された財市場に公営企業と多数の民営企業が存在するケースにおいて公営企業を民営化することによる環境ダメージ,最適環境政策および社会厚生への影響について研究を行った。①と②の研究の主な結果は以下の通りである。 まず,①において,ADF政策の下では,処理料金の上昇は耐久財の需要量を減少させ耐久財の長期利用者を減少させてしまうことから社会厚生上,マイナスの影響を与え,社会厚生を最大化することはできないことを示した。一方,DF政策の下では,公営企業が完全公営である場合,政府は処理料金を処理費用に一致させ処理費用を内部化することにより,社会厚生を最大化できることを明らかにした。しかしながら,公営企業が完全民営化された場合,中古の耐久財価格が十分小さいときには社会厚生の観点からADF政策の方がDF政策より望ましい政策になり得ることを示した。 次に,②において,環境規制がない場合は公営企業の民営化は環境ダメージおよび社会厚生を減少させるため民営化すべきでないが,直接規制あるいは環境税を導入している場合は部分民営化が望ましくなることを示した。また,直接規制と環境税では,直接規制の方がより民営化の水準が高くなることを明らかにした。 これらの分析結果は,使用済み耐久財に対する処理料金の徴収方法のあり方および公営企業の民営化について新しい政策的インプリケーションを与えている。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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地域政策科学研究
巻: 第10号 ページ: 69-79
Discussion Papers In Economics and Sociology, Faculty of Law, Economics and Humanities of Kagoshima University
巻: No.1203 ページ: 1-20