研究概要 |
本研究は,消費および人的資本への習慣形成が国際間の所得格差に与える影響を,世代重複モデルを用いて理論的に明らかにすることを目的に行ってきた。その結果,(1)消費の習慣形成については,開放体系への移行は,習慣形成の影響が大きいほど貯蓄水準を減少させるため一人あたりの所得水準を低下させる可能性があることを示すことが明らかにされた。(2)人的資本への習慣形成については,当該国の資本水準が低く,人的資本水準への習慣形成の度合いが大きければ,教育投資が定常均衡を満たす水準よりも過大に行われるため「貧困の罠」が生じることが明らかにされた。
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