本研究は、非対称オークション理論に基づき日本で最近始まった行政機関や自治体による電力購入入札を考察する。電力小売りの部分自由化以降電力の一般競争入札は全国の行政関係機関や自治体で導入が進められてきた。本研究ではこの電力一般競争入札の応札額データを用い、自由化により参入した新規企業と既存電力会社との応札行動の違いとその程度を明らかにする。すなわち、新規参入企業と既存電力会社の電力供給費用の違いを考慮に入れた非対称オークションモデルを構造推計し、両タイプの企業の応札戦略を把握する。また、上記の推計で得られる推計値を用いることで様々な仮想の制度のもとでの期待収入や効率性を分析することが出来る。これにより、理論で導かれる最適オークションやPrice-Preference制度によってどの程度現状を改善することができるかを明らかにすることができる。 電力小売りの部分自由化は2000年にスタートし、当初は特別高圧契約の需要家が対象であったが、自由化範囲は徐々に拡大し、2005年4月にいは契約電力50kw以上の高圧需要家すべてが自由化対象となった。これらの入札案件の電力会社らの入札価格を用い、非対称オークション理論のモデルを構造推計し、推計値を用いて制度分析を行う。 平成25年度は、入手したデータの整理・分析を進めるとともに、既存モデルをより当該産業にあうように改良することを試みた。特に、新規参入企業のcapacity constraint を考慮したモデルを考えている。
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