本研究では事例として眼鏡産業の三大産業集積について取り上げ、その中で鯖江地域の盛衰を、集積「外部」に広がる他の産業集積との分業ネットワーク構築および集積間競争から描きだした。鯖江地域は1960年代以降でみると、低コストを武器に積極的に海外市場へ打って出ていき一定程度の市場を獲得したが、1980年代にはいると円高の進展により輸出競争力が落ちる中で、発展途上国が低価格品市場で台頭し、海外市場を徐々に失いつつある。これに対して、鯖江地域は中国の産業集積との低価格品競争に打ち勝つために、自ら海外展開を進める一方で、著名ブランドを保有するイタリア産地の戦略に組み込まれアジア地域向け製品を供給するOEM基地化が進んでいることを明らかにした。
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