2010年10月1日にたばこの大幅な値上げが行われたため、喫煙習慣の変化と時間・リスク選好の変化を調査するために、調査は実際に禁煙を開始する喫煙者が多い10月以降に行うこととした。それまでの間、禁煙やそのほかの生活習慣の変化に伴う内的動機の変化に関する文献的検討などを行った。その後、喫煙者に対するスクリーニング調査を行い、継続調査の対象となる禁煙開始後の喫煙者を集めた。以前の調査では、喫煙者の1%程度が禁煙開始直後1ヶ月以内の喫煙者であったが、大幅値上げ開始後ということもあり、以前の調査よりも多い対象者が得られた。最終的に、658人の禁煙を開始した喫煙者に対して、禁煙の方法や時間・リスク選好パラメータの測定などを行った。計測方法としては、研究代表者らが開発した時間割引率と相対危険回避度を複数の離散選択の質問の答えから両者を同時に推定する方法を用いた。外的動機の変化については、禁煙による金銭負担の変化などの指標を用いた。内的動機については、健康分野の行動変容においても使用されている、Intrinsic Motivation Inventory (IMI)を用いた。第1回目の調査から2ヶ月後に、禁煙継続の有無、時間割引率と相対危険回避度の変化、内的動機に関する変数の変化を測定の目的とし、第1回目の調査と同様の調査を行った。今後も、第1回目の調査から4ヶ月後、6ヶ月後に継続調査を行い、禁煙開始後6ヶ月間の時間・リスク選好パラメータの変化を測定していく。
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