特許価値を推定する方法の一つであるPakesandSchankerman(1984)の特許更新モデルでは、初期(=登録)時点の特許収益の分布を仮定し、各期の収益は毎期一定の陳腐化率で減耗していくと考える。特許収益の分布やその減耗について直接観測することは困難であるが、特許の維持期間の分布を知ることができれば、特許更新モデルの特定化(収益分布や減耗の仮定)において有用な情報となる。本研究では、日本の特許個別データを用いた維持期間の分析を行い、消滅率は経過時間を通じて一定ではなく加速度的に上昇することを示した。また、更新率(残存率)に関して、維持期間にワ゜ブル分布を仮定した推定値の当てはまりがよいことがわかった。
|