研究概要 |
平成22年度では、次年度以降に実施する社会実験の準備のため、小規模サンプルによるプレ実験を行った。この社会実験は、申請書に記載した通り、補助金という経済的インセンティブを利用することで、どの程度省エネ効果が得られるか、また、省エネ効果を高める要因の検証などを目的としたものである。プレ実験では、松山市内の2つの事業所(松山商工会議所、松山大学生協購買部)の全職員を被験者として実施した(合計世帯数は52)。実験期間は2010年11月,12月、2011年1月の3か月間で、省エネの対象は電力のみとした。被験者はこの期間に前年の同じ期間と比較し、一定の電気使用量削減を行うことで、補助金を得ることが出来る。具体的には「10%~20%削減」で2500円、「20%以上削減」で7000円が支給され、10%未満(増加含む)でも500円が支給される。また、それぞれ実験前後でアンケートを行うことで、世帯属性や省エネへの取り組み状況などを回答してもらった。実験の結果として、参加世帯数の約35%が節電を行い、前年と比較した節電率は8.9%となり、一定の効果が見られた。また今回、標本を2つに分け、一方には省エネ手段が記された情報を与えることで省エネ情報の有効性を検証したが、有意な違いは示されなかった。しかしながら、プレ実験ではあるが、省エネ政策が遅れている家計に対して、この制度は一定の効果があることが示されたため、2011年3月の東日本大震災による夏季の電力不足問題のような短期的な電力需要抑制策としてや、温暖化防止に対する長期的な省エネ目標に向け、検討すべき有効な政策の1つであると言える。
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