本研究では、3年間の研究計画における第1年目として、福島県および全国の時系列人口・経済データを収集し、基本モデルの作成を行い、試行的な結果の導出・地理情報ソフト(GIS)による図化を行った。 ・まず、多時点分の福島県に関わる地域メッシュ統計(国勢調査・事業所統計)を入手した。 ・上記に加え、市町村等の公式統計上の人口・経済データ、対応する年次の全国マクロデータを収集した。 ・収集したデータをGISへの応用が可能な時系列データセットとして整理した。 ・整理したデータをGIS(ArcView)により視覚化した。 さらに、次年度以降行う予定となっている均衡モデル作成・重回帰・ロジットモデルによる計量分析を行う準備として、以下を実施した。なお、平成23年3月11日の東北地方太平洋沖地震発生以降、これに伴う不況や人口減少の深刻化を考慮した上で、新たなデータ収集および設定を行った。 ・計量モデルの各部分における関数形を決定し、プロトタイプを作成した。 ・2000年時点を対象として相双地域・いわき地域の2地域に関わる地域産業連関表を作成し、産業連関分析を行い、感度分析を試みた。 ・地域メッシュ国勢調査・事業所統計と関連付け、ローリーモデルを用いて地域内各地点の被雇用者分布の変化を推計した。 ・上記の変化をGIS(ArcView)により視覚化した。 *こうした試行的な分析から、不況にともなういわき市平地区や沿岸部・各工業団地周辺の人口減が特徴付けられた。また、震災・原発事故に関わる分析からは、元来、復興需要のため都市部を中心に生産や人口の増加が見込まれるべきところ、原発事故の影響により相双地域の多くの地区において生産や人口が大幅に減少し、またいわき地域でも北部を中心に衰退がおこる可能性があることが示された。 ・論文を作成し、学会発表への応募を行った。
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