小売主体型製材業は、中小製材業者の最も一般的な存立形態であり、 地元指向、多品種少量生産、大工・工務店(小規模住宅建築業者)への直接出荷の各点に特徴 付けられる。かつては国内に広くみられ、地方部における木材流通機構の不足・不備を補う形 で、地域社会・経済において重要な役割を果たしてきた。しかし、1990 年代に入り、ハウスメ ーカー(大規模住宅建築業者)やプレカット業の地方市場進出が進むと、これらが新たな木材 流通機構として機能するようになり、既存の住宅サプライチェーンに取って代わっていった。 市場を失った小売主体型の製材業者の多くは倒産・廃業したが、存続企業の間にも、地元大工・ 工務店に代えて、都市部の木材市場・問屋に出荷先をシフトさせる動きが広がっている。
|