研究課題/領域番号 |
22730231
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研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
松永 桂子 大阪市立大学, 大学院・創造都市研究科, 准教授 (20405476)
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キーワード | 中山間地域 / 地域ビジネス / 地域自治組織 / 集落営農 / 女性起業 / 社会的企業 / 地域産業政策 / コミュニティ |
研究概要 |
本研究「中山間地域の自立を目指した地域ビジネスに関する調査と政策研究」では、条件不利とされる中山間地域を対象に地域調査を実施し、地域活性化に向けた政策提言を行うことを目的としている。地域課題をビジネズの手段で解決する方法を「地域ビジネス」と位置づけ、その成立のプロセス、参加主体の構成、継続に向けた可能性などについて調査していく。 本年度の研究は島根県と広島県の中山間地域を対象に、「地域自治組織」「集落営農」といった地区や集落を単位とした自治と経済の自立の動き、およびその政策支援について調査を実施した。広島県と島根県は高齢化と入口減少が進む限界集落が多く、全国に先駆けて農業就業者の高齢化に直面したことにより、集落営農や法人化の動きが早かった。とくに兼業農家が多い中国山地の中山間地域では、住民主体のコミュニティの確立と自治の自立が模索され続けており、その社会的意義について考察した。また、産業化による自立の一環として、農産物直売所、・農産物加工場、農村レストランなど中山間地域の新たな産業化というべき「女性起業」、公と民の中間部門として台頭する「社会的企業」について、中国地方の主なケースについて調査した。 さらに、東日本大震災の被災地である岩手県を対象に、地域の中小企業がどのように復旧・復興しているのかも調査した。復旧の過程で、地域コミュニティやネットワークが果たした役割を考察している。 これらの調査結果については著書にケーススタディとしてまとめ、これらの調査をもとに2012年5月に単著を刊行予定である。この2年間は主に中国地方の中山間地域を対象に調査を重ねてきたが、今後は四国地方や東北地方、北陸地方に比較の対象を広げ、中山間地域の「地域ビジネス」の一般的特性と地域固有の特性に分け、実態をみていくことにしたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画どおり調査研究を進めることができた。研究成果についても、主に著書の形で順調に発表することができている。
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今後の研究の推進方策 |
4年間と比較的長期の助成を受けており、調査研究の期間は十分である。これまでの2年間は中国地方の事例を中心に調査研究してきた。今後の2年間は、当初の研究計画どおり他地域に対象を広げていきたい。それにより中山間地域の「地域ビジネス」の一般的特性と地域固有の特性た分け、実態をみていくことにする。
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