貧困削減政策の1つとして、低生産性のため低所得に陥っている貧困層に現金を給付する際に、政府が対象者を見極められないというスクリーニング問題を解決するための制度設計を試みた。従来、政府が個人の生産性を観測できないことが(学歴や職歴は観測できるが、個人の潜在能力は本人にしか分からない)、スクリーニング問題の要因になっていると指摘されてきた。しかし、現実問題として、主に農業や自営業に従事する労働者が多い発展途上国において、政府は個人の生産性だけでなく所得に関しても正確な情報を得ることができない。この政府と個人間の二重の情報の非対称性に焦点をあてた研究は独自性があり、現実の発展途上国の状況により当てはまる理論分析である。
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