研究概要 |
本研究では太陽光発電の普及のために平成21年度11月に導入された新しい余剰電力買取制度の評価を行った。この制度が今後の太陽光発電の普及プロセスに与えるインパクトを測定するため、過去の普及データから太陽光発電システムの需給に関する経済モデルを用いて構造推定した。そして政策コントロール変数である買取価格や経済条件にいくつかの条件を設定し、今後の太陽光発電の普及プロセスをシミュレーションするとともに、CO2削減効果を推定した。また、この普及プロセスにおいて消費者と生産者が受け取る便益を計測し、CO2削減効果や買取費用を含んだ社会余剰の観点から、政策の費用対効果を測定した。この研究成果については昨年度までに科学技術政策研究所ディスカッションペーパー及び住宅土地経済に論文として掲載されている。今年度は本研究の英論文を執筆し、現在、海外ジャーナルに投稿するための遂行作業中である。また研究成果の報告については昨年度に引き続き、国内のワークショップ等を中心に行っている。 本研究での実証分析と並行して取り組んでいる構造推定の手法に関する理論研究(離散選択モデルを用いて需要・供給モデルを推定する際のパラメータ推定精度に関する研究)がInternational Economic Review, vol.53, no.3, 2012 に掲載された。また差別化財の需要関数推定における内生問題についての論文が国民経済雑誌, 第206巻第5号に掲載された。これらの研究成果についてもInternational Workshop on Innovation and Global Competition (2013年3月, 京都ガーデンパレス)等で研究報告を行っている。
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