本研究は(1)decreasing marginal impatienceと呼ばれる内生的時間選好(endogenous time preference)、(2)習慣形成(habit formation)、及び、(3)非期待効用(non-expected utility)によって表現されるリスク回避というような消費者選好を導入した国際マクロ経済における動学分析を展開して、[A]経常収支などを含めた主要マクロ経済変数の決定に関する考察や[B]為替レートのフォーワード・プレミアム・パズル(forward premium puzzle)などの様々な国際金融に関するパズルの解明に取り組むことを目的としている。 平成25年度も平成24年度までに行ってきた分析をさらに発展させる形で、 [A]経常収支などを含めた主要マクロ経済変数の決定に関しては、主にdecreasing marginal impatienceである内生的時間選好を導入して、また、[B]国際金融に関するパズルの解明に関しては、主に習慣形成および非期待効用を導入して、様々な考察を行った。 特に平成25年度においては、学会発表として、decreasing marginal impatienceを含んだ2国経済世界モデルおける資本蓄積について分析を行った論文“Decreasing Marginal Impatience and Capital Accumulation in a Two-country World Economy”をウィーン大学(オーストリア)において開催された75th International Atlantic Economic Conferenceで報告した。当該論文は、上述の学会報告における討論コメント等も参考にしながら、さらに改善を加えた上で現在、査読付き海外雑誌に投稿中である。
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