研究概要 |
本研究の目的は、非対称情報の存在する金融仲介においてエージェンシー・コスト問題や情報開示問題があるとき、動学マクロ一般均衡モデルを使って、それらの景気変動や資産価格、金利の期間構造等への影響、そして金融安定に関する政策含意を理論的・数値的に検証することである.そうしたなか、平成22年度は「連続時間契約モデルを用いた信用リスクにおける流動性プレミアムの分析」(若手研究(B)研究課題番号18730209)、及び「連続時間契約理論アプローチに基づく信用リスクにおける伝染効果の理論・数値分析」(若手研究(B)研究課題番号20730204)において構築した長期間契約理論モデルを、マクロモデルに拡張してきた. ただし、当初計画では平成22年8-11月に米国中央銀行の連邦準備理事会において米国現地調査・研究滞在を行う予定であったものの、今次金融危機の渦中において先方の政策実務の繁忙度が増し、当初計画時期での私の受け入れが困難となった。そこで、計画を繰越し平成23年8月23日-9月2日にかけて連邦準備理事会、更には同ワシントンDCに存在する国際通貨基金(IMF)でも、現地調査・研究討論する機会を得たことから、当初計画以上の成果を得た. この結果、計画が遅れたものの、平成23年度にはHisashi Nakamura,A Continuous-Time Analysis of Optimal Restructuring of Contracts with Costly Information Disclosure,(Asia-Pacific Financial Markets,forthcoming,2011.査読有)の掲載が決定している.更に、平成22年度から資産価格モデルに応用した論文も執筆しており、研究会発表を行っている.
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