研究概要 |
本研究の目的は、非対称情報の存在する金融仲介においてエージェンシー・コスト問題や情報開示問題があるとき、動学マクロ一般均衡モデルを使って、それらの景気変動や資産価格、金利の期間構造等への影響、そして金融安定に関する政策含意を理論的・数値的に検証することである.平成23年度は、前年度までの理論モデルの数値解析分析を精緻化し、理論モデルの改善を繰り返しながら、最終的には研究計画を計画通りに実行した. とくに、国際通貨基金(IMF)の国際金融安定研究(Global Financial Stability Research)の部署を訪問し欧米金融安定策に関する現状について研究討論を行い、当初の計画以上に、証券化型金融のもとでの金融システムの安定におけるコンティンジェント転換証券の役割について成果を得、財団法人ゆうちょ財団の季刊機関誌『個人金融』2012春号に「証券化型金融のもとでの金融システムの安定について:コンティンジェント転換証券と保険の役割」を寄稿した. また、Hisashi Nakamura, A Continuous-Time Analysis of Optimal Restructuring of Contracts with Costly Information Disclosure,(Asia-Pacific Financial Markets.査読有)が発刊され、資産価格モデルに応用した論文やHisashi Nakamura,A Continuous-Time Optimal Insurance Design with Costly Information(高岡浩一郎・一橋大准教授との共著)を執筆し、研究会発表を行った.
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