研究課題
本年度は、地方公共財における外部性の内部化を志向した合併が行われるのかに関する研究を行った。本研究では、日本の市町村合併に関する住民投票データと非線形制約付きの空間ラグモデルで、外部性の内部化による合併を検証した。分析の結果、外部性の内部化を志向した合併が行われていること、この要因を考慮した上でも規模の経済が合併意欲を高めることがわかった。合併のメリットとして、外部性の内部化は広く認知されているが、一方で外部性の内部化を検証している実証研究はほとんどなく、意義のある研究であると考えられる。査読付き学会である2012IIPF、日本経済学会で研究成果を発表し、査読付き論文に投稿中である。また、当初の計画から派生した研究として、合併によって費用効率化が実現できたのかに関する実証分析を行った。2001年から2006年までの日本の市町村合併について、合併の意思決定に関する内生性に対処した操作変数法を用いて、合併の費用削減効果と規模の経済を志向した合併の有無を検証した。分析の結果、日本では合併の費用削減効果はなく、むしろ合併後費用が増大していること、規模の経済を志向した合併が行われていないことが明らかとなった。日本では合併の内生性に対処した費用削減効果の研究が行われていないこと、規模の経済による効果を識別した分析はないことから、意義のある研究であると考えられる。日本財政学会で発表し、投稿準備中である。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2013 2012
すべて 雑誌論文 (1件) 学会発表 (3件)
Institute of Economic Research, Hitotsubashi University Discussion Paper Series A
巻: 588 ページ: 1-44