研究課題
平成22年度は、世界中の個別の銀行データを収集すると同時に、企業の競争度を計測する手法について研究を進めた。まず、銀行データについてはBureau van Dijk社の金融機関データベースBankScopeから数万行の数年間にわたる財務諸表のパネルデータを得た。処理が膨大であるため時間をかけて整理する必要があるが、平成23年度はじめには必要な加工をして計量分析できるよう完成させたい。また、競争度の測定手法については、Booneの一連の研究を銀行に当てはめる際のいくつかの方法を考察した。これまでに確認されている問題点としては、利潤や費用の定義、および、効率性の指標としての限界費用の計測があげられる。これらは多くの先行研究でもそれぞれ定義や推定方法が異なるため、複数の定式化を試しながら、頑健な結果が得られる工夫をしていきたい。さらに、推定式については、対数線形の式から利潤の効率性に対する弾力性を得ることを検討している。企業の利潤関数を特定化せず一次近似として推定することを想定したものだが、今後は関数型を特定化してより効率的に推定することも検討している。アジアの銀行データは一部整理が終わったため、Boone指標による競争度の推定を行い、その成果を第12回East Asian Economic Association大会(韓国、ソウル)にて報告した。討論者およびフロアーからは、データの定義などについて質問や助言を受けた。これらの点を改善し、次年度の成果に活かしたい。
すべて 2010
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (4件)
Journal of Asian Economics
巻: Vol.21, No.2 ページ: 129-141
Empirical Economics Letters
巻: Vol.9, No.5 ページ: 449-457
金融経済研究
巻: 31 ページ: 75-87