当初の予定通り、本年度は信用保証制度関連と銀行関連のデータ整備と既存研究のレビューを中心に行った。まず、データ整備については、利用データに制約がある中で利用可能なものについて調査を行った。この結果判明した利用可能はデータについては長期間にわたって包括的にデータの収集を行った。具体的には、銀行財務データ、信用金庫の財務・信用保証関連のデータ、都道府県レベルでの信用保証関連のデータ収集・編集を行った。銀行・信用金庫の財務データについてはデータベースから収集を行った。保証債務残高が入手できる信用金庫については、2002年度以前のデータについて『信用保険』より手入力で収集し、都道府県レベルの保証債務残高、代位弁済額などのデータについては同じく『信用保険』から収集を行った。 先行研究のレビューについては、近年の研究(2008年以降の出版済み研究、ならびにワーキングペーパー)を中心にレビューを行った。特に、信用保証制度に関する理論分析については数が少ないこともあって、古典的なものから最近の新しいものまで詳細に検討を行った。これらの先行研究を踏まえ、信用保証制度と銀行の貸出行動とリスクテイクの同時決定の理論分析を行うとともに、そこから導かれる仮説を実証的に検証した内容をまとめた論文を作成した。具体的には、Loan Guarantees : The Effects on Banks' Risk-taking and Non-guaranteed Lendingを作成し、初稿が完成した段階である。今後、研究会、学会などの報告を通じて改訂を行って行く予定である。
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