研究課題
経営者報酬に関して、データの分析を行った。金融庁の施策で「1億円以上」という条件はつくものの、経営者への個別報酬の開示が行われることになった。国税庁の課税額から所得を逆算する方法に対して、個別の項目まで開示する点で優れた方法であった。今回開示された1億円以上の経営者への個別報酬を収集し、そのインセンティブ分を学術的に検証する内容であった。昨年度から継続して調査を進めていたこともあり、本年度に研究論文が学術誌に掲載された。この研究は、我が国の経営者への個別報酬を詳細に分析する初の分析となり、学術的にも高く評価された。二つ目のテーマは、銀行業の企業統治を分析する研究も進めてきた。銀行業に関しては、他の産業と異なり、社会的に与える効果が大きいため、ミクロ経済学の完全競争市場が仮定する「参入・退出の自由」が認められていない。このため、規制当局からの多くの規制を受けるとともに、財務が悪くなったときには公的資金を受けることができるとされている。本研究では、金融業の企業統治とそのパフォーマンスに関する検証を深めることも進めている。本年度は、国際会議での報告を行うとともに、それらのコメントに従い、論文の改善を行うことができた。論文では金融業の企業統治の特殊性に明示的に示すため、非金融業との比較まで加えることができた。最後に、成長性の高い新規上場企業の企業統治を深めるため、海外のワークショップに参加することもできた。これにより、海外の研究者とも討論ができたことで、今後の課題となる点を明示することができた。また、市場の流動性と企業統治に関する研究も共同研究で進めた。市場の流動性に関しては、デプスやスプレッド以外にも、最新の理論にも基づいて推定値を導き出し、その値と株式所有構造との関係を分析した。この分析結果を今年度の国際会議での報告なども行うことができた。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Corporate Governance: An International Review
巻: Vol.20、No. 6 ページ: 593-608
http://research-db.ritsumei.ac.jp/Profiles/96/0009537/profile.html