| 研究概要 |
本年度前半は、従来進めてきた研究(公的資本の蓄積、公共投資の財源、最適政策、経済成長および社会厚生との相互関係の分析)との関連性を整理しておく必要があると考え、各国の財政状況、(2)制度的側面、などについて論点の整理を行った。同時に、財政政策の効果の分析する上で、財政政策の具体的中身の普遍性と多様性を分析し、主要国の政策動向を分析した。また、本年度の後半では前半での研究成果を踏まえて、財源となる税・公債等について現実的な仮定を置いたうえで、公共投資の実証的・理論的分析を展開した。
これらの研究成果を「Are Fiscal Sustainability and Stable Balanced-Growth Equilibrium Simultaneously Attainable?」及び「Public Investment, Endogenous Growth, and Optimal Fiscal Policy」の2編の論文としてまとめた。前者は、財政政策の維持可能性及び安定成長の達成を同時実現可能な財政赤字の許容範囲を示したものである。後者は、そうした目標の実現のためには、どのような形で財政政策の規模を設定すればよいかを分析したものである。それぞれ、各種研究集会において報告し、出席者からの批評を基に改訂、学術誌への投稿を行っている段階である。特に、前者の論文については、日本の政策指針として、示唆に富んだインプリケーションを抽出できるはずである。
また、その他関連論文についても、各種研究集会等において報告を行った。それらで受けた指摘をもとに、モデルの頑強性の検証、政策含意の精査等を行った。
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