研究概要 |
平成23年度は,1年目同様に基本資料の充実と海外調査・国内調査を中心に研究を進めた。平成24年2月に北米資料調査を実施し,米国国立公文書館の接収資料(商社史関係)の閲覧・撮影を実施した。同公文書館での調査は,平成23年度3月に予定していたが,3月11日の東日本大震災により中止となったため,研究計画の進展上,必要不可欠な調査であった。今回の調査では,これまでの共同研究等で蓄積された接収資料の目録をベースに,三菱商事・安宅商会の機械関係の資料について十分に調査することができた。特に安宅商会の資料には,北米内での日本商社間の取引状況を示す資料があり,そこから日本商社の海外取引の状況を確認できた。国内調査では,三菱史料館,立教大学での調査を進め,特に三菱史料館では,三菱商事機械部,各在外支店に関する資料を閲覧・複写した。その他にも,英国公文書館,オランダ公文書館など,在外資料の状況について,専門の研究者やアーキビストに所蔵や利用状況の確認を行った。本研究は,国際関係史・比較的な視点を取り入れながら日本=アメリカ=アジアにおける多様な工業化のあり方・経路を実証的に明らかにすることが大きな目的の一つである。研究期間の2年目となる本年度までに,日本=アメリカの商社を中心とした取引関係について資料調査および検討を実施し,多くの成果を得ることが出来た。また国内の各研究会,学会等での報告も行い,問題関心を共有する専門研究者交流を行った。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度からは日本=アジアの関係史に研究および資料収集の重点を移す予定である。アジア地域に関しては,先行研究の厚い蓄積があり,研究史の理解や史料の状況についても不明な点が多い。それを補うため,アジア史の専門家から適切な助言を受ける必要がある。そこで本年度は積極的にアジア関係の学会や研究会に参加し,専門研究者との交流を深めていきたい。
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