研究課題
本研究の目的は,クリエイティブ産業におけるプロジェクト組織の価値創出メカニズムを解明することである.平成25年度の主な研究成果として,まず,「コワーキングの概念規定と理論的展望」が挙げられる.本研究では,クリエイティブやICTの世界を中心に浸透しつつあるコワーキングについて理論的に考察することが試みられた。その結果,コワーキングはコワーカーという働く個人とコワーキングスペースという働く場の二つの概念により,具体的かつ体系的に捉えられることが明らかとなった。また,それぞれと関連する概念(例えば,コワーカーの場合フリーランスや小規模事業者,組織人)との比較検討を通じて,コワーカーやコワーキングスペースの理論的位置づけと今後の課題が示された。次に,「フリーランスのキャリア戦略とコンテンツ産業の構造」が挙げられる。本研究では,フリーランス・クリエイターのキャリアの実態とメカニズムの解明が試みられた。その結果,彼らが,大手広告会社などを基点とする垂直的な分業体制の下,ある程度固定的・継続的なメンバーとプロジェクト単位で協同しながらキャリアを形成していることなどが見出された。加えて,このようなキャリアの形成要因について業界で歴史的に生成されてきた構造と主体の実践の双方から検討が行われた。さらに,「言説間での(再)接続と切断としての制度化」が挙げられる.本研究では,制度化(制度の生成・維持・変容)を捉える方法論として言説分析に注目し,その要諦を整理したうえで実際にフリーランスに関する諸言説の分析がなされた。その結果,彼らが既存あるいは新たな言説への接続やそこからの切断といった実践を展開していること,またそのような主体の多様な実践と制度化との関係が明らかにされた。以上の実績は,クリエイティブ産業におけるプロジェクト組織の生成や展開について,一定の理論的・実践的示唆を有すると考えられる。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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日本情報経営学会誌
巻: 35 ページ: 未定
經濟學研究(北海道大学)
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Graduate School of Economics and Business Administration, Hokkaido University, Discussion Paper Series A
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