キャリア・プラトー研究は、インセンティブとして機能してきた昇進での停滞に、これまで焦点が当てられてきた。しかし、近年昇進以外のキャリアでの停滞に主眼が移っており、キャリア・プラトー現象研究も新たな局面に入ってきたと考えられる。そこで、このような変化を生じさせている理由を、組織構造の変化、そしてそれによりもたらされる人的資源管理施策の変化という観点から理論的・実証的に明らかにすることに、本研究は主眼を置いている。 本年度は、大きく2つのことに取り組んだ。1つが、比較研究を行うために、キャリア・プラトー現象研究の蓄積が多くなされているアメリカにおける、現在の潮流を把握することである。もう1つが、これまでの研究蓄積を整理することである。 まず、第1点目として、本年度は経営学における国際学会であるAOM(Academy of Management)の大会に赴き、最新の研究動向を見るだけではなく、積極的に研究者と情報交換を行った。これにより、アメリカの事情だけでなく、ヨーロッパを始めとする他の諸外国での動向を知ることができた。来年度以降は、ここで得たものを活かしながら、研究を進める予定である。 第2点目として、これまですでに本研究に関して実証研究を行ってきたが、これまでの調査データを基に、組織階層のフラット化がキャリア・プラトー現象に与える影響に関して、更に詳細な実証分析を行った。その結果の一部を本年度、学会報告として発表している。
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