本研究の目的は、変化の途上にあるキャリア・プラトー現象およびインセンティブ構造に着目し、これらの変化を生み出している人的資源管理制度や組織構造、更には社会基盤としてどのような要因があるのかを明らかにすることにあった。本年度は特に、これらの要素において各国によってどのような違いがあり、どの点が日本独自の特徴であるのか、そしてその特徴の違いがなぜ生まれるのかを企業のインセンティブ構造および社会的基盤から検討することに主眼を置いた。 最終年度である今年度は、海外での活動を主たる目的としていたが、1年間の海外滞在の機会を得ることができ、その点では目的を達成する環境を作ることができた。また、ドイツを中心に企業へのインタビューを実施することができ、そこで明らかになった結果を現在成果としてまとめている。これらの結果は、最終年度後にはなるが、論文等の形で公開する予定であり、一部に関しては論文集等の形で、公刊される予定となっている。 当該研究年次において特に焦点を当てたのは、各国によって、当該問題がどのように認識されており、実際にはどのような現象として表れているのかを明らかにすることである。この点を明らかにするために、資料収集も行ったが、それに加えて、実際に何社かの企業に対してインタビューを行うことができた。ただ、各企業によって、問題のとらえ方が異なっている可能性があることが明らかになったため、今後更に詳細に追調査を行う予定である。
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