研究課題
本研究では、価値獲得につながる意味的価値の創造にとって重要な意味をもつ製品開発におけるデザインの実現に関して、デザインと技術の統合マネジメントの要点を検討することを目的としていた。研究期間内を通じて、「統合の担い手は誰か」という論点に関する理論的研究を行い、多くの既存文献を精読した。また、この分野に詳しい研究者と様々なディスカッションを行うことができた。これらのことを、平成24年度に学内紀要論文にまとめた(神吉直人(2012)「インハウスデザイナーによるデザインと技術の統合」『香川大学経済論叢』)。この論文の主張は次のようにまとめることができる。まず、形式知‐暗黙知という知識の分類の観点からみると、技術よりもデザインの方が暗黙的な要素が多い。この点に着目すれば、デザインを知る者が技術を解し、積極的に技術者とコミュニケーションを取るなど、イニシアチブを握ることがデザインと技術の統合には有意であると考えられる。また、統合の担い手が構築しているネットワークに関して、ネットワーク分析を実施する準備段階として、この技法を経営学に応用する際の注意点をまとめた(中本龍市・神吉直人(2010)「ネットワーク分析の経営学への応用に関する考察」『経営学論集80集(日本経営学会編)』)。これは、ネットワーク分析を経営学に応用する際の注意点を整理したものである。具体的には、ネットワーク分析を行う際の因果図式の問題と構成概念と指標に関する妥当性の問題(内的妥当性と構成概念妥当性)に着目することの重要性を示した。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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香川大学経済論叢
巻: 第85巻, 第1 ・ 2号 ページ: 101-123