研究課題/領域番号 |
22730303
|
研究機関 | 広島市立大学 |
研究代表者 |
王 英燕 広島市立大学, 国際学部, 講師 (10456759)
|
キーワード | 不確実性 / 外発的動機付け / 内在的動機付け / 社会的動機付け / 人的資源管理 / ダイナミズム / 自己効力感 / 媒介効果 |
研究概要 |
本年度の研究は、昨年の従業員の動機付けの変化から踏み込んで、動機付け変化のダイナミズムと外部・内部環境の相互作用の関係を注目し、理論的フレームワークに焦点を絞り検証を行った。具体的な内容としては、企業組織内に置かれた個々の環境において、従業員個人の所属部門の置かれた環境に関する個人の認知と目標設定や自己効力が、内在的、外発的動機付けや社会的動機付けに対して、いかに影響を与えるかについて検証した。 組織の置かれた環境の不確実性と個人所属部門の不確実性に関する認知には、異なる影響力があることが分かった。所属部門の不確実性、特に複雑性と不安定性が高くて目標達成が困難な場合でも、個人の自己効力感が高い場合には一定の内在的動機付けを保つことが可能である。しかし、組織の置かされた外部環境の不確実性に関する認知が高ければ、目標設定と自己効力感の媒介効果が薄くなり、高い内在的動機付けを保つことは難しい。さらに、社会的動機付けが外部環境または内部環境の影響を受けることが相対的低く目標達成が難しい場合でも、他者との協力関係を保ちながら高いレベルでの社会的動機付けがあれば難しい目標に挑戦することも厭わない。また、一番環境の変化から大きく影響を受けるのは外発的動機付けであることが分かった。更に、不確実性の高い外部環境と内部環境においては、外発的動機付けが複雑性と不安定性によって抑制され、内発的動機付けと社会的動機付けが顕著になる傾向が示されている。 以上の結果は、インタビューとアンケート調査を通して明らかになったものの、より大規模な実証研究での検証を進めていく予定にしている。また、日本と中国・アメリカなど、国ごとの異文化の違いを取り入れながら調査を進めて行く計画にしている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2年目の研究においても、おおむね計画通りに順調に進展している。当初計画した理論的フレームワークの構築と日本、中国の小規模調査をほぼ完了し、3年目により大規模な調査と中国・アメリカなど他国の比較調査を予定している。
|
今後の研究の推進方策 |
今後の研究は、初年度と前年度に構築された理論フレームワークおよび部分的検証されたモデルを踏まえて調査を継続し、モデル全体検証と国際比較を中心に展開する予定である。前年度に作成された調査票の最終調整を行った上で、日本での二回目の本調査を実施した上に、日・中・米で行った一回目の本調査の結果に基づき、第二回の国際比較の本調査実施を行う。さらに、日中においては前回行われた調査を踏まえて二回目の追跡調査を実施する予定である。
|