研究概要 |
22年度は、本研究の目的を達成するための「準備期間」として、主に今回の研究で用いる新しいデータの収集・整備を行った。 まず、イベントスタディ分析に必要となる、各社の日次の口座数・約定件数・約定金額等のパフォーマンスデータの入手と、コントロール変数としての株価等のデータの購入を行った。なお、日次のパフォーマンスデータは、各社の戦略行動だけでなく、株式市場など外部のマクロ環境からも影響を受ける。こうした影響をコントロールするデーター式の購入と整備を行った。一部データにおいては、欠損が生じているため、23年度も引き続き整備に当てる予定である。 また、テキストマイニング分析に必要な、各企業のプレスリリースデータや日経4社記事等のテキストデータの収集を行い、それらをCSVデータ形式へ転換するといった作業を行った。これらのデータは膨大で慎重なクリーニング処理が必要であり、23年度の分析に向けてさらに詳細に確認をして整備を行っている段階である。 一方、イノベーションに関する既存研究のサーベイをまとめた書籍を出版した(近能・高井,2010)。前掲の書籍では、イノベーションのプロセスが進むに従って競争の様相がどのように変化するのか、必要とされる戦略や企業の資源・能力がどのように変化するのかといったこれまで議論についての統合的な整理を行っており、本研究の目的である、定量的な分析やダイナミックな視点からの重要性が示されている。
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