研究課題
最終年度である24年度では、学会報告2件を含め、精力的に成果の発表を行った。本研究で得られた成果の概略は以下のとおりである。これまで、先進諸国の経済においては非製造業が非常に大きな比重を占めているにもかかわらず、A-Uモデル(Abernathy-Utterback model)などのイノベーションのプロセスに関する研究は、もっぱら製造分野にのみ関心を寄せてきた。そこで本研究では、典型的な非製造業である日本のオンライン証券業界を対象として、①企業レベルでのプロダクト・イノベーションならびにプロセス・イノベーションの採用がどのようなパターンを描きながら進んでいくのか、②それに伴って企業の業績にどのような影響が及ぶのかという二点について、ドミナント・デザインが登場する前後の時期に特に焦点を当てて、限定的ではあるもののテキストマイニングの手法を用いた実証的な検討を行った。なお、テキストマイニングとは文書を品詞分解し、その出現頻度や関連などを分析する手法である。本研究ではオンライン証券有力企業のプレスリリース文書を対象として分析を行った。その結果、①個々の企業レベルにおいて、当初はプロダクト・イノベーションの生起率が高く、プロセス・イノベーションの生起率が低いが、ドミナント・デザインの登場と相前後して、プロダクト・イノベーションの生起率が下がる一方でプロセス・イノベーションの生起率が上がり、両者が逆転するという傾向が見られること、また、②ドミナント・デザインを採用した前後で、企業のパフォーマンスに差が生じるということが検証された。研究の蓄積が進んでいない新しいビジネス、研究分野であるため、精査が必要な部分が多く残されているものの、サービス業、なかでも成長著しいインターネットビジネスのイノベーション・プロセスの一つがこの研究から明らかになったと言えよう。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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経営学論集
巻: 第83集 ページ: 未定
日本経営学会第86回大会予稿集
巻: 第86回 ページ: pp.157-160
経営情報学会2012年春季研究発表大会予稿集
巻: 2012年春季 ページ: A5-2, PR-058