本研究では、日本のオンライン証券業界を対象として、(1)プロダクト/プロセス・イノベーションの採用がどのようなパターンを描きながら進んでいくのか、(2)それに伴って企業の業績にどのような影響が及ぶのかという二点について、ドミナント・デザインが登場する前後の時期に特に焦点を当て、実証的な検討を行った。その結果、(1)個々の企業レベルにおいて、当初はプロダクト・イノベーションの生起率が高く、プロセス・イノベーションの生起率が低いが、ドミナント・デザインの登場と相前後して、両者が逆転するという傾向が見られること、また、(2)ドミナント・デザインを採用した前後で、企業のパフォーマンスに差が生じるということが検証された。
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