本研究は、筆者の前回の科研費プロジェクト「産業集積の形成・発展とネットワーク-岡山ジーンズ産業集積の分析を中心に-」(2007-08年若手研究B)の成果と課題を踏まえて、岡山と同様の伝統的な繊維・アパレル産業集積である岐阜市と今治市の産業集積を対象として、集積内ネットワークの観点から、産業集積の存続の要因について調査・研究するものである。 平成22年度においては、岐阜市のアパレル産業集積でのフィールド調査を中心に研究を行った。まず4月~6月の間で、関連する既存研究を整理した上で、調査項目の設定、分析枠組みの確定を行った。またこの期間には並行して、岐阜アパレル産業集積全体に関する二次データを収集して大まかな実態を把握した上で、具体的な調査対象企業を選定し、インタビュー調査のアポイント作業を行った。以上を踏まえ、8月30日から9月3日、および9月6日から10日までの2回にわたり、岐阜市問屋町のアパレル産業集積においてフィールド調査を実施した。この調査では、問屋町に所在のアパレル製造卸企業13社でインタビューを行い、取引関係から見た産業集積内ネットワークの構造、ならびに集積内での各企業の役割から見た集積内ネットワークの機能に関する情報を収集した。調査終了後、3月までの期間は、調査結果の整理・要約、および分析を行った。分析の結果、岐阜アパレル産業集積におけるリンケージ企業の実態や、岡山ジーンズ産業集積におけるそれとの相違点などが明らかとなった。分析結果については、平成23年度に学会報告を行う予定である。
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