本研究は、筆者の前回の科研費プロジェクト「産業集積の形成・発展とネットワーク―岡山ジーンズ産業集積の分析を中心に―」(2007-08年 若手研究B)の成果と課題を踏まえて、岡山と同様の伝統的な繊維・アパレル産業集積である岐阜市と今治市の産業集積を対象として、集積内ネットワークの観点から、産業集積の存続の要因について調査・研究するものである。 平成24年度においては、今治市のフィールド調査の実施、およびこれまでの調査・研究成果のとりまとめを中心に研究を行った。まず前者に関して、今年度は2回のフィールド調査を行った。4~6月の間で昨年のインタビュー調査で得た情報を踏まえた上で具体的な調査対象企業を選定し、インタビュー調査のアポイント作業を行った。そして平成24年8月27日から8月31日にかけて今治市のタオル産業集積においてフィールド調査を実施した。この調査では、今治市のタオル製造企業3社、および撚糸、染色、捺染等のタオル関連専門企業3社でインタビューを行い、取引関係から見た産業集積内ネットワークの構造、ならびに集積内での各企業の役割から見た集積内ネットワークの機能に関する情報を収集した。調査終了後は、テープ起こし等、調査結果の整理・要約を行った。さらに平成25年2月25日から3月1日にかけて今治市で2度目のフィールド調査を行った。この調査ではタオル製造企業2社で上記と同様のインタビュー調査を行うとともに、今治市立図書館等で資料収集を行った。 後者に関して、今年度は平成22年度にフィールド調査を行い、平成23年度に学会報告を行った岐阜アパレル産業集積の調査研究成果を、論文として取りまとめた。この論文は平成25年度の7月に大学の紀要に掲載予定である。
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