研究概要 |
平成22年度は、第1に、病院関係者に対して複数のインタビュー調査を行った。形式は、構造的な形式で聞く部分と非構造的な形式で自由に聞く部分を切り分けて行った。現在までに構造的な形式で聞きとった内容を簡単に述べると、情報システム導入前と後の時点を比較して、1.業務活動が変化した点、2.組織内におけるコミュニケーションやコーディネーションの変化、3.他の部門システムとの連携具合、4.組織ルールや業務手順の変更点、など主に導入効果の部分なので、要因部分を今後は聞き取る予定である。また、成果指標については、企業を扱った先行研究をレビューしながら特定化の作業を進めている(e.g.Delone and McLean, 1992 ; 2002)。 第2に、国立病院機構のHPで公表されている約120の病院の財務指標をexcelに落とし、赤字病院と黒字病院にグループ分けを行った後、病院経営におけるコスト効率の重要性を検証するためコスト構造の定量分析を行った。その結果、1.保険査定・2.給与費・3.材料費・4.診療材料費・5.設備関係費・6.減価償却費・7.経費・8.支払利息の項目で2グループ間に統計的に有意な差があることが明らかになった。この成果は、現在学会へ投稿中である。 第3に、第1の調査で特定化された情報システムの導入効果および影響を与える要因をベースにして操作化を行い、平成23年度の質問票調査で用いる質問事項を作成途中である。作業完了後、パイロットテストを行った後に、本配布の段階に移る予定である。
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