研究概要 |
知的財産マネジメント(特許管理)を類型化する作業の一つとして,アメリカ企業(トムソン=ヒューストン,ゼネラル・エレクトリック(GE)およびウェスチングハウス社)の特許出願管理の分析と権利行使の分析を行った。特許出願管理の分析については,アメリカ特許商標庁のウェブサイトおよび出版物から企業の特許情報を長期的に収集し,データベース構築作業を行った。トムソン社とGE社については第二次大戦期までの期間(1945年まで)のデータベースを完成させ,ウェスチングハウス社については1920年頃のデータベースまで作成した。紙媒体を丹念に収集し分析する方法によって,これまで明らかにされてこなかった第二次大戦までの個別アメリカ企業の特許出願傾向を明らかにすることができた。同時に,アメリカ企業の権利行使行動を明らかにするため,アメリカ合衆国ピッツバーグのハインツ歴史資料館およびワシントンDCのスミソニアン博物館において,ウェスチングハウス社の初期の特許管理に関する経営史料と初期のGE社の研究開発と特許管理に関する史料を収集し分析を行った。研究成果の一部は経営史学会全国大会において学会発表し,組織論的な視座の重要性をはじめとして,特許管理の発生とその類型化を進めるにあたって重要となる検討課題を討論の中から得ることができた。この討論の内容を踏まえ研究成果の一部を英語論文として発表した。また,国際比較のために北京市の北翔知識産権代理有限公司とジェトロ北京事務所を訪問し,中国における知的財産マネジメントの展開について調査を行った。中国企業の特許管理は急速に展開しており,継続的に注意を払い中期的にその発展方式を評価しなければならない。アメリカの特許管理と中国の特許管理の比較研究を今後も進める予定である。
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